読書について 2025年5月1日
ロフティング『ドリトル先生航海記』読了
福岡伸一からのドリトル先生。本家ナチュラリストの冒険物語です。訳者「井伏鱒二」は博物学者と訳しています。本シリーズは土木技師であった作者ロフティングがアフリカなどに赴任中、子供たちに宛てた手紙が元になっているそうです。シリーズ最初『ドリトル先生アフリカ行き』は、三人称視点で語られますが、2作目の本作から「トミー・スタビンズ」の視点で語られます。
今は老人になっているスタビンズが自身の少年時代を懐古し、忘れえぬ思い出として「ドリトル先生」の物語を語るという程です。舞台になっているのは1870、80年代頃の世界です。
「ドリトル先生」は動物と会話ができ、家にはありとあらゆる動物が住んでいる、偉大なるナチュラリストです。ドリトル先生と知り合った、靴屋の息子「スタビンズ」=「私」は貧しく学校にも行かせてもらえませんが、先生からたくさんのことを学び、内弟子のような形で住み込みで先生の研究を補佐していきます。
そして、世界に向けて船出し、さまざまな困難に出逢いますが、スーパーマン「ドリトル先生」は次々困難を回避し、「くもさる島」の王にまで即位してしまいますが、「海カタツムリ」と知り合うことで、王位を放棄し、故郷に帰ってきます。
息つく暇なき、冒険の数々。子供の頃にこれを読んだら、夢中になること必至です。福岡少年は、この作品を通して世界を理解し、生物学者になってしまったのだから、本作の影響力たるはすごいものがあります。
ちなみに「ドリトル」は「Do little」、つまり、少ししか働かない、怠け者、のようなニュアンスだそうです。