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畑仕事、キャンピングカーの旅、サウナ、読書…晴耕雨読の日々を綴る【いくら君のこころととのう日記】

波多野澄雄『日本終戦史』読了

読書について 2025年9月8日

波多野澄雄『日本終戦史』読了

なぜか突然,発作的に終戦史を読む。

まえがきにライシャワーの言葉が載っている。「あの降伏の時期が,実際よりわずか二週間をはさんで早められたか遅れたかだけでも,戦後の世界の情勢は著しく違ったものになっていたであろう。二週間前に降伏していれば,原爆投下もなかったし,ソ連の参戦も起こらなかった。二週間降伏がのびていたらロシア軍の極東進撃はさらに進んでいただろうし,日本の破壊も回復できぬものとなっていたであろう」とあって,まさにそうだったんだろうな,と本書を読んで納得した。

 

先の大戦は,アメリカ・中国・イギリス(マレーシアなどの南方戦)・ソ連との戦争であった。まさに太平洋を挟んだ「世界大戦」である。

戦後80年,すっかり心が萎縮した(等身大?身の程を知る?)我々からすれば,資源もない小国がどうしてこのような誇大妄想を抱けたのだろうか?それも一部の軍人だけではなく,多くの国民を巻き込む形で。と,解けない疑問が首をもたげるが,まあ、それはさておき,

当初はうまく行ったものの,すぐさま連戦連敗で補給路を絶たれ,戦局は悪化するばかり。にもかかわらず,軍部の圧を抑えることもできず,ひたすら悪化する。

政治家たちはあらゆる方法で有利に戦争を終えようと画策するが,うまくいかない。常に会議,会議である。会議室で立場の違う奴らが侃侃諤諤議論するが,結論は常に先送りになる。

民間人のことなど考えず,立場・面子・組織を優先。

昨日,石破茂が総理を辞すと宣言したが,そこには正義も倫理もなく,ただ組織保全の圧に負けただけで,国民のことなど何も考えていないように見えるが,まさに終戦史も同じ。

それを筆者は見てきたように記すのである。戦争直後関係資料は焚書の憂き目にあったが、政治家たちの日記等をよくよく読み込み,冷静に再現する。

最後に、最高指導者たちに終戦を決断させた要因は?

「本土決戦の不備,それを糊塗する統帥部に対する不信感が,終戦を決意させる決定的な要因であ」り,「こうした懸念が共有され,原爆やソ連参戦が格好の「口実」として利用された」のだ。

原子爆弾による被害は甚大で「はだしのゲン」にあるように悲惨なものではあるが,あれがないと更に一年二年グズグスを延び,本土決戦で玉砕するまで続けられた可能性もあり,被害者には申し訳ないが,なんというか,ねー.早く終える・降伏する,理由になったのは間違いない。

まあ,施政者がアホだと国が滅びるといういい見本なのであった。

しかし,ひどいなぁ。酷すぎる。政治家というか官僚というか,会議室にいる人には何も見えていない.

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