読書について 2023年8月11日
平野啓一郎『「カッコいい」とは何か』
タイトルだけ見れば、エラく軽薄に感じるかもしれない。しかし、筆者は、語源を探索し、戦後の日本に於けるジャズやロックの受容とともに、それがどのように爆発的に流行ったのかを検証するところから始める。
そして、「しびれる」という体感を起点に、「ドラクロワ=ボードレール的な体感主義」や「経験する自己/物語る自己」といったキーワードを提示し理解を深める。あるいは、モード・ロック/ジャズ・ダンディズム等ざまざまな領域に踏み込みつつ、さまざまな角度から丁寧に論考を深める。
特に私にとって、ロマン主義以降のフランス文学に関する論述がとても参考になった。