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畑仕事、キャンピングカーの旅、サウナ、読書…晴耕雨読の日々を綴る【いくら君のこころととのう日記】

内館牧子『終わった人』読了

読書について 2023年8月22日

内館牧子『終わった人』読了

 本日は昨年の8月心筋梗塞で入院し、ステントを入れた87歳になる母の検診日であった。1年ぶりの心臓検査。造影剤のようなものを入れ、平常時の心臓の様子をRIでみる。その後、薬剤を投入し軽い運動をした状態に人工的にし、また同じようにRIで心臓を見て、差を比較し、現在の状況を判断する、というものだ。医師の診断は二週間後である。それに「いくら君」は付き添った。

 朝自宅を8時に出発し(連ドラ見ず)、待ち/検査/待ち/🍙/待ち/検査/お会計と、終わったのは14時。待っている間ずっと、この本を読んでいた。最近のフランス文学研究の合間にちょっとずつ読んでいたのだが、本日一気に最終盤へ雪崩れ込んだ。

 読み始めは、少し馬鹿にしていたが(ごめんなさい)、さすが凄腕脚本家、一気に読まされました。すごい牽引力!自分自身の今の境遇とも重ねながら、時には涙し、汗拭きタオルで鼻をかみながら読むこととなった。

 主人公「田代壮介」の一人称語りの小説である。田代は岩手県出身。名門高校を卒業し東大法学部へ。そして大手銀行に就職。順調に出世街道を歩むも、40代で子会社へ出向。プライド高きエリートには不本意な形で社会から一度63歳で退く形に。

 カルチャースクールへ通い、ジムへ通いっても、プライド高き男は満足できず、社会に(会社組織に)戻りたいと、悩み苦しむ。ある時、ジムの仲間鈴木から彼の経営する IT企業に顧問として迎えられる。数ヶ月満足いくポジションをすごすも、社長鈴木は39歳という若さで動脈乖離のため死去す。そして、東大卒・大手銀行出身の「田代」に社長職への就任を懇願され、彼は迷いながらもその提案を受けることにする。

 会社は堅実な経営をし順調であったが、ソフト開発を受注し、納品までしたミヤンマーの会社が突然倒産し、三億円が入金されず、経営不振に陥り、数ヶ月で倒産。。家庭もうまくいかなくなる。しかし、家族との様々な葛藤を経、母と共に故郷岩手県盛岡で別居生活をすることになる。

 

 本作は地方新聞8社に連載された新聞小説で、2015年9月に発表され、2018年に文庫化された、65歳前後のサラリーマン必読の書!

“内館牧子『終わった人』読了” への2件のフィードバック

  1. fondriest より:

    これ、映画で見たことあります。
    すべてのプライドを払拭し、故郷に帰って昔の仲間と楽しく暮らす。
    こんな終わった人になるのが理想ですね。

  2. ikurakun より:

    へー、映画になったんだ。一時、結構話題になったみたいね。

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