読書について 2023年10月23日
トーマス・マン『トニオ・クレエゲル』読了
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9月3日から『象徴交換と死』を読み続け,ようやく五章に入ったところ。
で,また,つまみ食いです。今回はマン『トニオ・クレエゲル』です。
本作は,マンの青春の書です。芸術家としての自分と世俗的な自己との対峙。
若いうちは,天才を気取って,世俗的なものや人を軽蔑するのが,かっこいい!みたいなところにハマり、自己矛盾を起こして混乱し,苦しむケース。
あるいは,自己矛盾を起こしていることにさえ気づかない俗人,なんていうのもよくなるケース。なんていうのがよくあります。
美に殉じて死を選ぶ,なんてのは格好悪い。悩み苦しみながらも,美と生活の折り合いをつけつつ,死ぬまで生きていくのが,マンの選んだ道である。
ニーチェやワーグナーとは違う。それがマンであり,『トニオ・クレエゲル』なのだ。