読書について 2023年12月13日
中島義道「哲学の教科書」読了
花村萬月が好きだ。彼の力技にいつもねじ伏せられる。心地よい敗北感と共に。
花村のエッセイの中で,中島義道「哲学の教科書」を読むべし,とあるので読んだ。
私は尊敬する人間の前では至って素直なのである。
のっけから,ひっくり返った。作者は怖くて跳び箱など飛べなかったのだが,「跳び箱の跳び方」というペーパーテストは「教科書」を丸暗記していつも満点だった。という。
そんなの意味あるか? 跳び箱を跳べるようにならなければならないのだ。つまりはそういうことなのだ。
哲学者と哲学解説者。中島義道は両者を全く別物と断ずる。哲学するとは,哲学の本を読んでその学説が理解できた,ということではないのだ。
私とは?
死とは?
心はあるのか?あるならどこに?重さは?
などなど,子供が疑問に思うようなことを,考え続けてしまう人が哲学者なのだ。
本書には多くの示唆を受けた。文章が,平易で,筆者が上げる具体例がとてつもなくよい。また,偉そうでないのも素敵である。
ぜひ,多くの人に読んでもらいたい良書である。