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畑仕事、キャンピングカーの旅、サウナ、読書…晴耕雨読の日々を綴る【いくら君のこころととのう日記】

斉藤ジン『世界秩序が変わる時』読了

読書について 2025年9月5日

斉藤ジン『世界秩序が変わる時』読了

 

 筆者斉藤ジン氏は,バブル期日本の都市銀に就職するものの,とにかく貸して貸して貸しまくれという上司の命に疑問を持つと同時に,このような経済モデルは必ず破綻すると考えた.また,バイクシャルである彼は日本で自らを騙し生きていくことに息苦しさを感じており,一念発起、銀行を辞め,単身アメリカの大学院に進み、その後、ヘッジファンドの世界で頭角を表していく.

 バイシェクシャルは常に既成の価値観に疑問を持つ思考法を身につけていることが、強みであると、斎藤氏はいう。。

 

 結論から言うと、本書の主旨は「失われた30年」を経て,これから日本経済は回復する,と言うもの.

では,その理由は如何に?

 近代以降,世界の覇権国は,オランダ・イギリス・アメリカと移ってきた.では,派遣国とは何者か?

 斎藤氏はそれをカジノのオーナーに例える.ルールを作るのはオーナーで,そのルールは当然オーナーが1番儲かるようにするものである.また、ゴールを近づけたり、遠くへ置いたり、また大きくしたり、狭めたり、それはオーナー次第であるともいう。

 日本は2度覇権国に,出る杭として叩かれてきた.一つは1930年代〜1945年の敗戦まで,あと一つは1990以降バブル崩壊後の日本である.前者は石油等を締め上げられ,世界大戦を起こし,灰燼に化した時.後者はバブル崩壊後の失われた30年と言われる時間.

 

 〈覇権国から睨まれ,締め上げられる時〉

 〈地政学的にも必要で経済発展できるよう,下駄を履かせてもらえる時〉

 これの繰り返しである、と氏はいう.

 

 過去,アメリカは中国を新自由主義に導くことで,民社的社会に転じると考え,中国経済を育ててきた.しかし今は,軍事面も含めただただ脅威にすぎない.よって,中国・ロシア・北朝鮮などの連携に対抗するためには,地政学的にも日本の存在が大切になってくる.よって,カジノのオーナーである米国は日本の経済発展に有利に働くような方策を打つであろう,と言うこと.また、日本はそのチャンスを十分に活かせるポテンシャルを持っているということ。

 また,ここ数十年日本経済の発展を阻んできたゾンビ企業を,インフレから賃上げを謳うことで,つまり国が自らの手を汚すことなく淘汰することができる。急激なリストラを避けるために30年間生活を守ってきた効率の悪い社員が定年で消えていくことも,会社の前向きな投資に有利に働くと言う.

 

 

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