読書について 2023年6月6日
『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ)読了
主人公「優子」は七回も家族の形態が変化する。実の母は亡くなり、父は3人存在する。
本作第一章はこう始まる。
「困った。全然不幸ではないのだ。少しでも厄介なことや困難を抱えていればいいのだけれど、適当なものは見当たらない。いつものことながら、この状況に申し訳なくなってしまう。」
優子はとってもクールで優しい子。特別に強いというわけではないが、目の前の現状を肯定的に受け入れていって最後に笑顔になれる。そういった特殊性を持っている。優子に関わる「親」は実の親を含めて5人いるのだが、全ての人が魅力的だ。こんなのあるわけないと、自然主義に傾倒した読者は思う。でも、最後の「森宮さん」の語りの章で涙が溢れ止まらなくなった。
それと、登場するご飯やデザートがみんな美味しそうだった。美味しいものをしっかり食べていれば、それだけで幸せになれるのかもしれないね。
ああ、なんて素敵な物語なんだろう。感涙。瀬尾まいこさん、ありがとう。