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畑仕事、キャンピングカーの旅、サウナ、読書…晴耕雨読の日々を綴る【いくら君のこころととのう日記】

平野啓一郎『三島由紀夫論』読了

読書について 2023年8月1日

平野啓一郎『三島由紀夫論』読了

 2023.7.11より読み出した平野啓一郎『三島由紀夫論』を本日(2023.7.31)読了した。  本作は平野啓一郎氏を文学に誘った(引き摺り込んだ?)三島由紀夫の4作品(『仮面の告白』『金閣寺『英霊の声『豊饒の海』)の作品論であり,作家論にもなっている。大変な労作である。  

 上記4作品のみならず,他の小説・評論・エッセイ・戯曲を援用しつつ,ファンである自己の思いなどを最大限抑制し,三島独特の感覚・論理を冷静に分析し,今まで学者や評論家が描いてきた三島論とは違った,新しい三島論を展開しており,私なぞは,今まで解けずモヤモヤしていた問題を,丁寧に論理を追いながら答え合わせをしてくれてくれているような感じがし,大変勉強になった。  

 三島の作家人生の始まりが20歳としたら,作家人生は25年である。  

 一方1998.8に「新潮」に掲載された「日蝕」でデビューし,たちまち時の寵児に祭り上げられた平野氏の作家人生も25年。  

 さらに本作をデビュー後まもなくから構想し,断続的ながら,作家生活とほぼ同じ時間を経て上梓された本作は23年という歳月が費やされている。  

 お疲れ様でした。ありがとうございました。というしかない。ちなみに作者はもうこれだけのものは書かないだろうと述べている。

  最後に,あとがきにあった平野氏の言葉を引用したい。

「私は,もし本書を三島が読んだなら,自殺を踏みとどまったかもしれないという一念で,これを書いたのである」  

 三島への並々ならぬ愛情が感じられる一文ではないか?  私はこの言葉を読み号泣した。

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