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畑仕事、キャンピングカーの旅、サウナ、読書…晴耕雨読の日々を綴る【いくら君のこころととのう日記】

コンスタン『アドルフ』読了

読書について 2023年9月19日

コンスタン『アドルフ』読了

 次回の芥研(10月14日)の課題図書は、ジャン・ボードリヤール『象徴交換と死という難解な哲学書の「第一部 生産の終焉」に決定した。よって、「いくら君」は9月6日から本書を読み始めた。

 しかし、とにかく難しい。ベースにマルクス『資本論』ソシュールのアナグラム論があって、それを乗り越え現代的状況を解き明かそうという目論見なのだから、相当難しい。また、原典はフランス語であり、フランス語訳はの日本語特有の言い回しというか、回りくどさというか、があり、一行読んで前の行の戻り、三行読んで前に戻り、頭の中で論旨を再確認しつつ主語と述語を見極め、時に辞書を引き、などという読み方をしているので、一日2〜3時間読んでも、数ページしか進まないのが当たり前の状況を頑張っています。そして、9月13日に、「第一部 生産の終焉 」を読み終わりました。その後2、3日、「第二部 シュミラークルの領域」 に突入したのですが、力尽き、休憩に入りました。

 そこで読んだのが、今回の表題作、コンスタン『アドルフ』であります。本作が描かれたのは1806年。発表されたのが、その10年ごとのこと。フランス、ナポレオンの時代のことです。まあ、古い作品ですが、これも近代フランス文学の心理小説として歴史に残る恋愛小説であることは間違いありません。

 本作は全部で10章で構成されているのですが、扉にあるように、「発端の1章を別とすれば、続く2章だけが恋と誘惑に当てられ、残る7章は全て男が恋を獲たあとの倦怠と、断とうとして断てぬ恋の頚城の下でのもがきを描いている」作品なのです。主人公アドルフの突鉄もない優柔不断により恋人エレノールは恋を諦めきれず、最後は心労が祟って死んでしまうという、なんとも、苦しい小説なのですが、この主人公の心理描写の説明がまあすごいのです。キレがあり、また、アドルフの特殊な心理をよく描き切っています。

 これまた、楽しいフランス心理小説シリーズの一環でした。

さて、また、ボードリヤールに戻らなくては。

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