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畑仕事、キャンピングカーの旅、サウナ、読書…晴耕雨読の日々を綴る【いくら君のこころととのう日記】

アベ・プレヴォー『マノン・レスコー』読了

読書について 2023年10月9日

アベ・プレヴォー『マノン・レスコー』読了

 毎回書いているが、芥研の次の課題がボードリヤール『象徴交換と死』という難解な哲学書である。九月六日に読み始め、現在4分の3というところである。なかなか前に進まないため、ちょこちょこ他の本も並行して読む。

 今回は、アベ・プレボー『マノン・レスコー』である。作者は北フランスエダンに生を受けたのは、1697年4月のことである。彼はアベつまり僧侶であり、グリューつまり騎士でもあった。落ち着きのない人で、僧侶と騎士を行ったり来たりしていたようだ。彼の生涯の中で一番大きな作品『ある貴人の回想録』(1728)の付録として書かれたのが本作『騎士グリュウとマノン・レスコーの物語』(1731)である。この作品で、プレボーはフランス文学に永遠の名を刻むことになったのである。

 「私」が旅行中、騎士「グリュー」に出会う。彼は、詐欺犯罪によりフランスからアメリカに流される幌馬車の中の女に帯同している。非常に美しい青年だが、ボロボロの姿である。「私」は彼に同情し、いくばくかの金を渡しす。二年後、再び彼に偶然出会う。そこで、「私」は彼からこの話を聞くことになる。「私」は彼の語った全てを一字一句ここに記す。という枠組みの設定があり、以後は、「グリュー」の語りである。

 哲学を収めた、品行方正か生活をしていたデ・グリューは学校卒業後十字軍に参加するはずであった。が、ところが出発の前日、享楽的性格を矯正するため修道院に送られる馬車に乗せられた「マノン・レスコー」に出会い、激しい恋に落ちてしまう。

 二人は愛し合い、享楽的な時間を過ごす。しかし、マノンは娼婦的な性質のため、金の為、豪奢な生活のため、たびたびグリューを裏切る。しかし、グリューの深い執着のため、二人は度々よりをもどす。グリューは彼女に贅沢をさせるため、賭博、詐欺など破廉恥な罪を重ねながらマノンとの愛の生活を保っていく。何度も困難極まる危ない橋をわたる二人であったが、その度に彼を精神的にも経済的にも支援したのが、親友である僧侶「チベルジュ」である。しかし献身的ですらある「チベルジュ」さえも裏切り、マノンとグリューは詐欺の罪で牢獄に入れられてしまう。グリューは政治力を使い、出所できるが、「マノン」はアメリカ送りになってしまう。二人でアメリカに渡るも、マノンに想いをよせる男との決闘の末、彼を殺害したと思い違いをしたグリューは、マノンを伴い、広大なアメリカの大地に逃亡する。「マノン」極度の疲労によりなく亡くなってしまう。彼女の墓を作り、その前で自ら死を決意するグリューであるが、村人に見つかり、生きながらえてしまう。グリューを探しにアメリカへ来たチベルジュの配慮により、フランスへ帰国する。そこで二年ぶりに出会った「私」に顛末を語るのである。

 文庫の裏表紙に次が記されている。

 「純情な貴公子デ・グリューに、賭博、詐欺などの破廉恥な罪を重ねさせながら、自らは不貞と浪費の限りを尽くし、しかもなお、汚れを知らぬ少女のように可憐な娼婦マノン。プレヴォーはその美しく多情な姿を創造して、永遠の女性像に新しいタイプを加えた。(中略)今なお、輝きを失わない18世紀フランスロマン主義文学の不朽の名作である。」

 

 

 

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