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畑仕事、キャンピングカーの旅、サウナ、読書…晴耕雨読の日々を綴る【いくら君のこころととのう日記】

ポール・オースター『幽霊たち』読了

読書について 2023年10月28日

ポール・オースター『幽霊たち』読了

 現代アメリカ文学奇妙な小説である。自己の存在自体が揺らぐ、現代人が抱える問題を描いた作品であるといえよう。

 小説は次のように始まる。「まずはじめにブルーがいる。次にホワイトがいて、それからブラックがいて、そもそののはじまりの前にはブラウンがいる。」そうなのである、登場人物は全て色の名前である。

 私立探偵のブルーはある時、ホワイトから不思議な依頼を受ける。それは、ブラックという男と観察し定期的にレポートを送るというものだ。ブルーはブラックのあパーの向かいに部屋を借り、ひねもす、ブラックを観察する。しかし、事件は何も起こらない。ブラックはほぼ毎日自分の部屋で何か書き物をしている。当社は熱心に観察していたブルーであるが、何もしないブラックに逃げられる心配もなく、だんだん、この依頼された事柄そのものについて考えを巡らすようになる。それまで、自分のことなど考えてこなかったブルーは自分の存在について考えざるを得なくなり、精神的不安定な状況に陥る。このままでは何も変わらない。そこで、ブルーは、さまざまな形でブラックに接近する。徐々に、接近は大胆になり、とうとうブラックの部屋に忍び込み机上のレポートを盗む。自宅でそれらのペーパーを見ると、それはブルー自身が書き、ホワイトに送ったレポートだった。

最後、ブラックの部屋に侵入するブルーであるが、ブラックがこちらに拳銃を向けて待っている。ブルーはブラックを殴り殺し、どこかへ旅立つ。

 

人間のアイデンティティーを問題にした作品である。役者「柴田元幸」は「エレガントな前衛」と喝破する。

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