なぜか突然,発作的に終戦史を読む。 まえがきにライシャワーの言葉が載っている。「あの降伏の時期が,実際よりわずか二週間をはさんで早められたか遅れたかだけでも,戦後の世界の情勢は著しく違ったものになっていたであろう。二週間前に降伏していれば,原爆投下もなかったし,ソ連の参戦も起こ・・・
波多野澄雄『日本終戦史』読了

斉藤ジン『世界秩序が変わる時』読了

筆者斉藤ジン氏は,バブル期日本の都市銀に就職するものの,とにかく貸して貸して貸しまくれという上司の命に疑問を持つと同時に,このような経済モデルは必ず破綻すると考えた.また,バイクシャルである彼は日本で自らを騙し生きていくことに息苦しさを感じており,一念発起、・・・
久しぶり 6冊

ずいぶん投稿をサボっておりました. 暑さのせいということにしておいてください. 前回投稿後,門井慶喜『文豪,社長になる』,パスカル『パンセ』,平野啓一郎『文学は何の役に立つか』,ゲーテ『若きウェルテルの悩み』と、進んできました. 5月に書いた80枚ほどの中編がほぼ出来上が・・・
中村文則『土の中の子供』読了

最近、過去の芥川賞受賞作を追っている。 中村文則はずっと気になっていた。読んだことがないのに、どこからどういう情報が自分の中に入っているのか見当もつかないが、中村はいつかは読まねばならない作家だと確信していた。すでに何作か著作を購入していた。が、私の中の何かが熟していな・・・
俵万智『生きる言葉』読了

感動した。 なぜかわからないが、終始涙が流れた。時に,慟哭した。心が震えた。日常の言葉で深い内容をわかりやすく的確に表現する俵万智の腕はホンマすごい。 彼女の言葉に対する哲学(半端な奴はこういう言葉を使いたがる)は,日常の中から,息子との会話から,少しだけ立ち止まって,考えて・・・
福岡伸一『生物と無生物の間』読了

自分の中で、最近、福岡伸一ブームである。何がいいって、やはり文章がいい。上手いし、美しいし、また本として、読み物として、読者をぐいぐい引っ張っていく力がある。それは、彼の中で計算され尽くした構成が、そういった牽引力を生み出しているのである。 さて本作。こ・・・
出口智之『森鷗外、自分を探す』読了

昔、若い頃、漱石と鷗外が明治の二大巨頭として並び称される理由が今ひとつわからなかった。両者とも明治初期に西欧に留学し(鷗外はドイツ、漱石はイギリス)に、先進知識のみならず、近代的個人主義的思想を身につけ帰国し、古い体質のままの日本の慣習と戦いながら、最前線の知を啓蒙する、ま・・・
ホセ・ムヒカ 心を揺さぶるスピーチ 読了

「 「世界で一番貧しい大統領と呼ばれたホセ・ムヒカ 心を揺さぶるスピーチ」読了。 先日(5/13)に、南米ウルグアイの元大統領「ホセ・ムヒカ」氏が亡くなった、と新聞にあった。享年90である。 思い出した。「世界で一番貧しい大統領」のキャッチフレーズで一時期大いにマスコミにも・・・
ハラリ『NEXUS情報の人類史』読了

ようやく読了。やく一ヶ月本書に付き合ってきた。 著者ユヴァル・ノア・ハラリは、1976年生まれの歴史学者であり、現在はイスラエルのヘブライ大学で教鞭を取っている。もともとヘブライ語で書かれた『サピエンス全史』の英語版が2014年に発表されて以来、『ホモ・デウス』『21LE・・・
ロフティング『ドリトル先生航海記』読了

福岡伸一からのドリトル先生。本家ナチュラリストの冒険物語です。訳者「井伏鱒二」は博物学者と訳しています。本シリーズは土木技師であった作者ロフティングがアフリカなどに赴任中、子供たちに宛てた手紙が元になっているそうです。シリーズ最初『ドリトル先生アフリカ行き』は、三人称視点で・・・