長く、柄谷行人の著書に関わっている。順番としては、あまりよくないのだが、『世界史の構造』『力と交換様式』そして、それらの原点でもある『トランスクリティーク カントとマルクス』と進んでいる(途中、関連文献や関連書に手を出したが)。この本は一部で「カント」を扱い、二部で「マルク・・・
西研「カント純粋理性批判」100分で名著

中島義道『カントの人間学』読了

イマニエル・カントと言えば、言わずと知れた18世紀プロイセンの大哲学者で『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』の三大批判書を発表し、認識論におけるコペルニクス的転回をもたらした人物と知られている。しかし、私を含め多くの人間がその著書名を知りながらも、あまりに難解なた・・・
柄谷行人『哲学の起源』読了

柄谷はいう。「『世界史の構造』は、世界構成体の歴史を「交換様式」から見る企てである。それは社会構成体の歴史を経済的土台から見たマルクスを受け継ぐものである」と。そして、『世界史の構造』でギリシアの時代に向き合った際、さまざまな研究をし思考を深めた。もちろん、彼ならではの新し・・・
柄谷行人『「世界史の構造」を読む』読了

先日、読了した『世界史の構造』は、柄谷行人による、ある意味で人類の未来への預言書である。その預言(筆者の考察)を我々凡庸な読者に理解させるためには、徹底的に人類の歴史について丁寧に細やかに説明必要があった。もちろん柄谷氏が注目した「交換様式」という概念を軸にして。そして、生・・・
水谷千秋『教養の人類史』読了

現在、芥研で、柄谷行人『力と交換様式』の読解を進めている。柄谷は、マルクスが「生産様式」を柱に組み立てた理論『資本論』一巻に対し、「交換様式」(物々交換・お金と商品の交換、等々)という概念を柱に、世界の賢者たちの、つまり「巨人の肩に乗り」ながらも自らの考えを理論化・体系化し・・・
ハラリ『サピエンス全史』読了3/4

3月4日ユヴァル・ノア・ハラミ『サピエンス全史』読了。3月9日(土)14:00〜「芥研」の研究会がある。今回のテーマは柄谷行人『力と交換様式』で報告者は清水くんである。氏は、若い頃より現代哲学に親しみ造詣も深い。さらに、柄谷行人の諸作を40年にわたり継続的に読んで・・・
柄谷行人『「力と交換様式」を読む』読了

2月12日に終えた『力と交換様式』に続き、上記作品を読了す。 本書は、単著ではなく、柄谷自身の自作理解への補助的文章。あるいは、擱筆前後のインタビュー、対談等。さらに識者からのレビューからなる。いわば共著である。本書を読むと、『力と交換様式』で読者の理解が曖昧だった部分や、・・・
柄谷行人『力と交換様式』読了

柄谷氏の最新の仕事『力と交換様式』読了。 氏は、13年前に上梓した『世界史の構造』から数年後、いい足りないものを感じ、本作に着手したという。 前項『世界史の構造』でも触れたが、柄谷氏は人類の歩みを変化を「生産様式」で読み解くことには限界があるとし、「交換様式」の観点から考・・・
柄谷行人「世界史の構造」読了

次回の芥研の課題図書は、柄谷行人の最新作『力と交換様式』である。本作は昨年の8月15日に出版された。後書に以下の文章が付されている。 「『世界史の構造』を2010年に刊行した後、私はそこでは触れなかった諸問題を扱う仕事をした。‥‥しかし、その後、私はそれらの仕事では十分に・・・
カミュ『ペスト』読了

昨今のコロナ騒動で、この『ペスト』が再発見され、改めて多くの読者の手に取られたという話は耳に新しい。ようやく昨年の5月に、われらの時代の「ペスト」である「新型コロナウイルス感染症」も5類に移行し、平穏に戻りつつある世界であるが、今、この作品を読み直す意味は大いにある。 前回の・・・