柄谷氏の最新の仕事『力と交換様式』読了。 氏は、13年前に上梓した『世界史の構造』から数年後、いい足りないものを感じ、本作に着手したという。 前項『世界史の構造』でも触れたが、柄谷氏は人類の歩みを変化を「生産様式」で読み解くことには限界があるとし、「交換様式」の観点から考・・・
柄谷行人『力と交換様式』読了

柄谷行人「世界史の構造」読了

次回の芥研の課題図書は、柄谷行人の最新作『力と交換様式』である。本作は昨年の8月15日に出版された。後書に以下の文章が付されている。 「『世界史の構造』を2010年に刊行した後、私はそこでは触れなかった諸問題を扱う仕事をした。‥‥しかし、その後、私はそれらの仕事では十分に・・・
カミュ『ペスト』読了

昨今のコロナ騒動で、この『ペスト』が再発見され、改めて多くの読者の手に取られたという話は耳に新しい。ようやく昨年の5月に、われらの時代の「ペスト」である「新型コロナウイルス感染症」も5類に移行し、平穏に戻りつつある世界であるが、今、この作品を読み直す意味は大いにある。 前回の・・・
ジャン=ポール・サルトル『嘔吐』読了

前回のカミュ『異邦人』に引き続き、不条理シリーズ。今回は、サルトル『嘔吐』です。本作は、読み続けるのが、難しく(彼の文章が私を拒んでいる感じ)、なかなか進まず、苦労しました。 サルトルは言わずと知れた「実存主義哲学」の人であります。右目が斜視で特徴的な容貌を持つ方だと、子供・・・
カミュ『異邦人』読了

アルベール・カミュは1913年11月7日、フランスの旧植民地アルジェリアで生まれた。アルジェリアは地中海を挟んでイタリアの向かい側、エジプトの隣にある。 カミュは、1940年5月に本作を発表し、27歳にして一躍文壇の寵児となったという。 本作は、1部と2部に分かれている。・・・
中島義道「哲学の教科書」読了

花村萬月が好きだ。彼の力技にいつもねじ伏せられる。心地よい敗北感と共に。 花村のエッセイの中で,中島義道「哲学の教科書」を読むべし,とあるので読んだ。 私は尊敬する人間の前では至って素直なのである。 のっけから,ひっくり返った。作者は怖くて跳び箱など飛べなかったのだが,・・・
ギュスターヴ・フローベール『ボヴァリー夫人』読了

ようやく読了。11月3日から頁をくり始めたのでほぼ一ヶ月かかりました。それは、前半部分の読みになかなか乗らなかったからです。とにかく描写が徹底的に細かいため、悪く言えばまどろっこしい。よって、読み手自身が物語の中に没入できず、なかなか進まないという状態でした。しかし。後半か・・・
金原ひとみ『蛇にピアス』読了

言わずと知れた、金原ひとみのデビュー作である。彼女は本作で「スバル文学賞」と「芥川賞」をダブル受賞した。弱冠二十歳の時である。同時に、綿谷りさも『蹴りたい背中』で芥川賞を受賞し、当時、最年少・女性とかなり話題になった。綿谷りさは正当的な可愛らしい女の子で、早稲田大学在学中・・・
ジャン・ボードリヤール『象徴交換と死』読了(一応)

9月6日より、毎日2〜3時間本書読解に当ててきた。文章構成が非常に難解(ボードリヤール自身の問題・翻訳でるという問題)な上、筆者が使う術語も筆者独特の解釈のものが多く、一文を理解するためには、何度も辞書をひき、主語を確認し、遠くにある述語と結びつけ、とりあえず文章の構成を理・・・
ポール・オースター『幽霊たち』読了

現代アメリカ文学。奇妙な小説である。自己の存在自体が揺らぐ、現代人が抱える問題を描いた作品であるといえよう。 小説は次のように始まる。「まずはじめにブルーがいる。次にホワイトがいて、それからブラックがいて、そもそののはじまりの前にはブラウンがいる。」そうなのである、登場・・・