秩父32番札所法性寺
友人に誘われ秩父32番札所法性寺にお参りしてきました。
ことの成り行きは以下の通り。
彼は,もちろん狂信的ではないが,だからと言って古刹名刹を美術品として鑑賞する人でもない。現代の人にしては神社仏閣に詳しく,信心深い人の部類に入る人というところだろう。
その彼から,秩父の寺へ行かないかと誘いを受けた。彼は西国三十三所も坂東三十三箇所も,そして今回の秩父三十四箇所も済ませている。合計100!(秩父は無理やり34にしたのか?)
ちなみに四国八十八箇所も満願成就である。私からいえば,お参りのプロである彼が,なぜ無知ないくら君に声をかけたか?
秩父34を3回の秩父訪問で終えた彼には,一つ心残りがあった。それは32番法性寺(こちらの奥の院は険しい山の上にある)の,最終院である奥の院に前回辿り着けなかったとのこと。
「そこは山道険しく最終場面では蔦が垂れ下がった岩場をクライミングがごとく上らねばならず,あまりに危険で断念した。2人ならばなんとかなるのではないか」と考え,いくら君に声をかけたという次第である。
ところが,彼はいろいろ他者のブログを漁り,かなりの老人も奥の院へ行っている。前回私は道を間違えたのではないか? という疑念が湧いて来たようである。
当初予定日は5月9日であったが,天候がよろしくなく,11日に延期になった。
起床すると天気予報通り,快晴である!
朝8時に来るという約束であったが,6時半過ぎにいくら君のうちに到着。慌てて飯を書き込んで彼の車のハンドルを握ったのである。
土曜日にしては順調に流れた。9時過ぎには目的地に到着。住職に簡単な説明を受け手書きの味ある地図をいただけ出発した。
山道である。巨大な岩がゴロゴロしている。あるいは岩盤に寄り添うようお堂がある。
巨岩の割れ目からさらに奥へ進む。空気が変わった。冷涼で厳かである。そこから道が険しくなる。獣道のようでいて,実はさりげなく人の手が入った狭い道を登る。
彼は我々の歩く道から数メートル上を指し,「俺が歩いたのはあそこだ!」と叫んだ。
「正しい道」はその下を岩盤を巻いて目立たぬよう整えられていた。それからじきに景観のいい場所に出た。まさしく新緑の世界である(杉の植林の多さに多少鼻白むが)。
とうとう最後の鎖場を登って奥之院到着である。彼の蟠りも霧消した。
正しい道を選ばねば目的に辿りつかない可能性が高まるのは,古来,ものの道理である。
わらじトンカツにかぶりつき「星音の湯」で汗を流し,帰路に着いた。車は順調に疾走した。
いい天気だった。緑はまだまだ優しい。5月の晴天は暑いとはいえ空気が乾いていて風が心地よい。いい小トリップでありました。
ありがとうございました。